自己紹介

自分の写真
ひとり旅が好きで国内47都道府県を制覇。数年前に広告会社を早期退職後ぷらぷらしながら行った国。中華人民共和国、中華民国台湾、ラオス、タイ、シンガポール、マレーシア、インドネシア、モンテネグロ、アルバニア、ギリシャ(コルフ島だけ)等。地元の人が食べるものを食べ、美術館を見るのが良いですね!映画に関しては、やはり映画が必要とされていた黄金期の邦画が好き。溝口健二、小津安二郎、成瀬巳喜男、木下恵介、渋谷実、山本薩夫、新藤兼人、増村保造、森一生、三隅研次、久松静児等。 浦島太郎状態で迎えた2011.3.11 自分にできる事は少なく、考えた末除染作業に参加。しかし除染作業も一時中断し、瓦礫撤去作業と考え宮城へ来てみるが瓦礫撤去作業も一段落したようで…

2011年10月11日火曜日

映画「ビフォア・ザ・レイン」監督ミルチョ・マンチェフスキー

ビフォア・ザ・レイン(Before the Rain)

1994年 イギリス=フランス=マケドニア 115分

監督 脚本 ミルチョ・マンチェフスキー

撮影 マニュエル・テラン

音楽 アナスタスオ

出演 カトリン・カートリッジ(アン)
    レード・セルベッジア(アレックス)
    グレゴワール・ゴラン(キリル)
    ラビナ・ミテフスカ(ザミラ)
    リュピチョ・ブレスレスキー(ミトレ)
    イゴル・マッジロフ(ストヤン)
   ヴラディビル・エンドロフスキー(トライチェ)
   アブドゥラフマ・ンサリリャ(ザラミの祖父)
   ジェイ・ヴイリアーズ(アンの夫ニック)
   フィリダ・ロウ(アンの母)
   メト・ヨヴォノフスキー(サソ医師)
   シルヴィヤ・ストヤノスカ(ハナ)
   

ミルチョ・マンチェフスキー  
1959年マケドニア、スコピエ出身。南イリノイ大学映画課程卒。
81年マケドニアで映画製作活動を開始。85年ニューヨークへ移住。法廷通訳の後、ミュージックビデオの監督として頭角を現しドキュメンタリー・短編映画を製作。85年ベオグラード映画祭最優秀実験映画賞受賞。86年クロアチアスプリット映画祭で最優秀作品賞を受賞。92年度MTV賞、ビルボード賞の最優秀ビデオ賞を「テネシー」でダブル受賞。94年長編作「ビフォア・ザ・レイン」でヴェネチア国際映画祭グランプリをはじめ数々の映画祭賞を受賞。2001年「ダスト」2007年「シャドー」発表。小説「The Ghost of My Mother」等も出版し、多彩な才能を発揮している。


あらすじ及び感想 
 
プロローグ

荒涼としたマケドニアの丘陵、若い修道士キリルが畑でトマトをもいでいる。老僧が雨が近いことを告げるが、キリルは沈黙修行のため話すことができない。老僧が呟く。「時は死なず、巡ることなし」
  
第一部…言葉

キリルが夜修道院の部屋で休もうとすると、人の気配があった。アルバニア人の女の子であった。何ものかに追われているらしい。女の子の名前はザミラ。言葉が上手く通じないが、キリルは事情を察し受け入れる。翌日銃を持ったマケドニア人の集団がやって来た。ザミラが彼らの仲間をどうやら殺して逃げてきたらしいことがわかった。

集団はネコを撃ち殺したりしながら懸命に探すが見つけることができない。夜中にザミラが戻りふたりは恋に落ちてしまう。民族間の紛争が始まった過酷な状況の中で。次の日の朝、ザミラが隠れていることが主教に見つかり、主に背いたキリルは破門され修道院からふたりは手に手をとって逃れる。

朝まで歩き続け丘の上で休んでいると、ザミラの祖父の一行に見つかりかれらはザラミの行動を激しくなじり殴りつける。キリルは心配だが、立ち去るように言われ、泣く泣く離れようとすると、そこへザミラがキりルの後を追うとザミラの兄の銃弾がザミラを打ち抜く。倒れ息を引き取るザミラ。

第二部…顔

ロンドンシティのオフィス。アンは自分が妊娠したことを医師からの電話で知らされる。その時、愛人?である戦場カメラマンのアレックスがやって来た。国際的に著名なアレックスは突然仕事を辞め、故郷のマケドニアに戻るので一緒に来てほしいと言うのだ、今夜の便で帰国すると言う。航空券を渡されるがアンは思い悩む。

その夜、夫のニックと約束していたレストラン。過去の過ちは忘れるのでやり直しを求めるニック。妊娠のことを話すとシャンパンを注文して喜ぶ心優しい夫を見て気持ちが揺らぐアン。意を決して離婚を切り出すが、ニックの悲しむ顔をみてますますこころの判断がつかなくなる。その時、店の中で客とウェイターが騒ぎを起こし、店内が騒然となる。騒ぎを起こした客が店を出て静けさを取り戻すが、暫くして戻ってきたその客が店内で突然銃を撃ちまくる。パニックになる店内。ニックは死んだ。アンはニックの血だらけになった顔を見ながら茫然となって座り込む。

※キリルとザミラが二部のストーリの中に思わぬ形で現れます。アンの仕事はフォトエージェンシーの編集者です…


第三部…写真

十六年ぶりに戻ってきたマケドニアは民族紛争の影響で首都スコピエにも国連軍の装甲車が展開している。故郷の村に向かうオンボロバスの中で、「こんな時になぜ戻ってきたんだと」と話しかけられるアレックス。無人の荒れ果てた実家で一晩を過ごし、従兄弟の家族と束の間の語らいを始めるが、やはりこの故郷の村にも争いの火種は燻り始めているようだ。

幼馴染のアルバニア人のハナを尋ねようとすると、止めるようにと諭されるアレックス。しかし家族への手土産を持ち、アルバニア人居住区に向かうと、ここでも歓迎されることはない。いきなり銃をもった若者に行き先と場所を詰問される。なんとかハナの父親が覚えていて再開を果たす、ハナの夫は昨年事故で亡くなったらしい。しかし、マケドニア人であるアレックスの訪問を口汚い言葉で罵るハナの息子。

そして事件は起こった。アレックスの従兄弟が干草のフォークで刺されて殺された。殺した犯人はなんとハナの娘のザミラだった。その夜アレックスはハナの幻影を見た。いやそれは現実のハナだった。娘を助けてほしいと懇願するハナ。幼い時に恋心があったかも知れない二人。自分の娘だと思って救ってほしいと言い残し立ち去るハナ。

戦争取材で、間接的に殺人を手助けしてしまったと思い悩んでいたアレックスはその忌まわしい証拠の写真を破り棄て、意を決しザミラの救出に向かう。従兄弟たちが監禁している小屋からザミラを救い出し、立ち去ろうとすると、裏切りの行為の代償の銃弾がアレックスを襲う。仰向けに倒れたアレックスは、言葉をかける従兄弟に、雨が近いと言い残して絶命する。

アレックスのおかげでその場を逃れたザミラは丘の上の修道院を目指す。その畑には若い修道僧キリルがトマトをもいでいた。老僧が近づき、雨が近いことを告げる…。




劇場公開時に見た印象が強烈で、その後VHSのビデオを購入しました。16480円もしましたがその価値はあります。メビウスの輪になる三部構成は計算し尽くされた素晴らしいストーリ展開です。
三話のタイトルの「言葉」「顔」「写真」単純な文字の意味がそれぞれのストーリーに複雑に繋がっていることに納得させられます。

また素晴らしい映像美、そのロケーションは実際訪れたくなるほどの力を持っています。2006年の夏休みに思い出しオフリド湖へ行ってきました。聖ヨハネ・カネヨ教会は小さくてかわいらしかったです。内部は少し残念でしたが、冒頭シーンの畑の中のトマトをもぐのを覚えていてレストランで注文しましたが本当においしかったです。

因みに、アルバニア人少女ザミラ役のラビナ・ミテフスカは当時18歳のマケドニアの学生。役作りのためにセルビア、マケドニア、コソボ在住のアルバニア人家庭に滞在したそうです。お母さんはモンテネグロの方のようです。まあモンテネグロ出身でもモンテネグロ人とは限りませんが?アレックス役のレード・セルベッジアはクロアチア生まれのセルビア人ですから。アン役のカトリン・カートリッジはイギリス人。キリル役のグレゴワールはフランス人と多国籍俳優・スタッフのチームワークの結晶。

この映画のようにあらゆる民族の人々がお互いを尊重し合い、認め合って生きることができると良いのですが…






























































0 件のコメント:

コメントを投稿